2023年2月18日、第9回洪水管理国際会議(ICFM9)開催記念「水と災害に関するハイレベルシンポジウム”ポストコロナ時代の水循環管理”」を開催しました。
洪水管理国際会議(ICFM : The International Conference on Flood Management ICFM)は三年に一度開催されるもので、洪水問題に取り組む世界中のステークホルダーが一堂に会し、互いに議論する重要な機会であり、その第9回会合が2023年2月につくば市で開催されました。これを記念して開催した今回のハイレベルシンポジウムは、政治家、政府、研究機関、市民団体やその他関係するあらゆるステークホルダーが議論を行うことで、その経験や知識を共有し、国連をはじめとする国際社会における国や地域レベルでの水問題の解決に向けた行動のための約束を再確認することを目的としており、40の国と地域からおよそ250人 が参加しました。このシンポジウムの午前の部1には天皇陛下も御臨席になり、陛下は終始うなずきながら熱心に聴講されていました。
午前の部では、水と災害に関するハイレベルパネル(HELP)ハン・スンス議長・韓国元国務総理、政策大学院大学の大田弘子学長、李军华(Li Junhua)国連事務次長(経済社会局長)の挨拶に続き、チャバ・コロシ国連総会議長やペッテリ・ターラス世界気象機関(WMO)事務局長らが水と災害に関する基調講演を行いました。 コロシ総会議長は、世界では18億人が洪水のリスクにさられており、独創的でかつ決意を持った形で取り組んでいかなければいけない課題であるとし、科学技術に裏付けられた解決が必要とされていると訴えました。また、水に関連するSDG6の策定から8年目を迎え、気候変動による影響で発生する渇水や洪水といった問題が水と衛生へのアクセスに与える影響が明確でなかった当時とは状況が変わってきており、災害リスク管理という観点から、洪水管理や土地利用などに取り組むことがSDG6の達成にとっても重要であると述べました。ターラス事務局長は、気候変動をめぐる世界的動向や昨年のCOP27で発表されたWMOと国連防災機関(UNDRR)が主導する国連行動計画「すべての人に早期警報システムを」について紹介しました。計画は今後5年間に早期警報システムを全世界に導入するという目標の達成を目指しますが、アフリカ諸国などでは約半数の国でしか整備されていないという現状に触れ、更なる取り組みが必要であると強調しました。このほか、アルゼンチンやインドネシアにおける水管理の歴史なども発表されました。
午後の部では、政策大学院大学の廣木謙三教授(HELPコーディネーター)がモデレーターを務めるハイレベルパネル「ポストコロナ時代の統合洪水管理」が行われ、ヨハネス・クルマン第77回国連総会議長室SDGs担当局長、小池俊雄水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)センター長らがパネリストとして議論を行いました 。パネルディスカッションでは各パネリストが「それぞれの機関が国連2023水会議に向けて水と災害・洪水管理という分野でどのような行動を実施しているか」、「国連2023水会議はその行動を促進するためにどのような機会を創出するか」、「水、災害リスク管理、気候変動の三つの分野の連携を強化するためにどのような行動を実施しているか」という観点からプレゼンテーションを行った後、「水と災害問題の関係者としては国連2023水会議にどのようなメッセージを発表していくべきか」、「水と災害問題の関係者は国連2023水会議でどのような行動に関する約束をするべきか」という問いにそれぞれが答える形で、議論が行われました。
本シンポジウムの議論の結果は、水循環・洪水対策関係者からの共同メッセージとして取りまとめられ、国連2023年水会議に向けたプロセス及びその後の活動に活用されます。
なお、本イベントの様子はUN NewsにUN Web TVのアーカイブビデオへのリンクとともに掲載されています。
UN Web TVアーカイブビデオ
議事次第
1) 午前の部1(午前 9 時 30 分~10 時 30 分)
主催者代表挨拶
- ハン・スンス HELP 議長・元韓国国務総理
- 大田 弘子 政策研究大学院大学学長
- 李军华(Li Junhua)国連事務次長(経済社会局長)
2) 基調講演 1
- チャバ・コロシ 国連総会議長
- ペッテリ・ターラス 世界気象機関(WMO)事務局長
- パブロ・ベレシアルチュア 世界水パートナーシップ(GWP)議長
- アリ・セティアディ・モエルワント インドネシア公共事業・国民住宅省大臣上席顧問
午前の部2(午前 10 時 45 分~午前 11 時 30 分)
3) 基調講演 2
- スロボダン・シモノビッチ カナダ・西オンタリオ大学教授
- 曲兴(Qu Xing) 国連教育科学文化機関(UNESCO)事務次長兼自然科学局事務局長補
- ウーチョン・ウム アジア開発銀行事務総局長
4) 米国陸軍工兵隊による HELP 旗艦イニシアティブ「洪水リスク管理と環境ジャスティスポリシーブリーフ」
の発表式
ウィル・ローガン 米国陸軍工兵隊統合水資源管理国際センター所長
昼食休憩(午前 11 時 30 分~午後 1 時)
午後の部(午後 1 時~2時 30 分)
5) ハイレベルパネル“ポストコロナ時代の統合洪水管理”
モデレーター:廣木謙三 HELP コーディネーター・政策研究大学院大学教授
パネリスト:
- ヨハネス・クルマン 第 77 回国連総会議長室 SDGs 担当局長
- 小池俊雄 水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)センター長
- パオラ・アルブリート 国連防災機関(UNDRR)所長
- ステファン・ウーレンブルック 世界気象機関(WMO)水文・水・雪氷圏局長
- アニル・ミシュラ 国連教育科学文化機関(UNESCO)政府間水文学計画(IHP)水文システム・気候変動と適応セクションチーフ
- アレシオ・ジャルディーノ アジア開発銀行(ADB)シニア水専門家(気候変動)
- ヴァレンティン・アイヒ 世界水パートナーシップ(GWP)シニア水・気候専門家
6) 閉会挨拶
- シンポジウムのまとめ グレチェン・カロンジ 四川大学災害危機管理学部長
- 閉会挨拶 ハン・スンス HELP 議長・元韓国国務総理
写真提供(2点とも):政策大学院大学(GRIPS) (無断転載はご遠慮ください)